2012/08/06

鳥海山


今年も誕生日を山の上で迎えられて嬉しい。

山頂御室小屋では、屋根裏のようなスペースの
一番奥を与えられた。
真横に小さな窓がある。
夜中の3時に目が覚めて、窓から星を確認したら
うっすらと見えた。
外に出て、小屋の裏から空を見上げると、
見事な星空が広がっていた。
ぼんやりとしか見えなかったのは、
月の光と寝ぼけまなこのせいかもしれない。
流れ星がひとつと、人工衛星も見れた。

日の出と影鳥海を見るために、4時過ぎにまた外へ。
薄明の空、目に映る全てのものが青色になっていた。





しばらく眺めていると、影鳥海の出現。
水平線の端っこまで、三角の影がずーっと伸びている。
感動。
この現象は年に数回しか見れないと、
登山者から教えてもらった。
初めて登ってお目にかかれたなんて本当にありがたい。

この日の天気予報は、都内で見たときは
曇りと雨マークだったのに、
相馬樓や若葉旅館の人達が、
天気を祈ってくれたおかげかな、
戻って報告したいくらいだった。

きっとよい一年になるはず。






と、すっかりよい気分になり、苦手な下山も大丈夫!と
気合が入ったのに小屋からすぐ出たところで、
もう心が折れそうになった・・・。
大きな岩、岩、岩、それもゴロリと落ちてしまいそうな
不安定な道。
といってもこれにビビっているのはきっと
坂道恐怖症の私くらいで、
他の人達はすいすいとうまく歩いていく。
まだまだ初心者、慌てずにゆっくりと進んだ。

振り返ると、遠くに泊まった山小屋が見えた。
すごいところに建ってるなー。





山の内側を越え、尾根に出ると、
山小屋からは見えなかった
向こう側の景色が広がる。
下にはこれから横断する予定の雪渓も見えて、
このときはワクワクして、
すぐ近くにさえ感じていたけれど
そこにたどり着くまでもずいぶんと長かった。






緩やかな雪渓を横切るだけなのに、
おっかなびっくり歩く。
でも初の軽アイゼン、ザクザクと気持ちよい。





下から自由に登ってくる人も。
そうか、いいんだー、と思っても
やっぱり傾斜はこわいので、素直に横切りルートに出る。





どんどん降りていくと、すっかり雲の下に。
この後もゴール地点の家族旅行村までは、
本当に遠かった。
いつになったらたどり着くのだろうと。
予定の3時間オーバーの原因はやっぱり、
疲労とへたくそな足取り。
それでも今回、ひとりではなかったので本当に救われた。
感謝です。


ローカルなバスに乗って、温泉へ。
温泉も十分癒されたけれど、
バスの中で話すおばあさん達の方言が
何より疲れを和らげてくれた気がする。
本当によい旅でした。




2012/08/04

鳥海山


山形県と秋田県に跨がる鳥海山に登った。標高2236m。
正直、問題なく登れるだろうとナメていた・・・

行きは予定していた時刻より1時間半オーバー
帰りはなんと3時間オーバー
体力が落ちたせいなのか、夏バテが影響したのか、
本当にしんどかった。

登山の前日は酒田を一日観光した。
東北はこちらよりも涼しいことを期待していたのに、
暑い暑い。
それでも途中で自転車を借りて、山居倉庫や相馬樓へ
こちらでは舞娘さんの踊りを堪能しました。
(相馬樓の舞娘さんは、「舞妓」ではなく
「舞娘」と書くらしい)
柔らかく美しい舞、芸妓さんの渋く響く唄と
三味線、
素敵。
また働いている方達が温かい人ばかりで、
色々とお話してくれて苦労も垣間見れ、
心からこの相馬楼が長く続くことを願った。





宿泊は若葉旅館、こちらの宿もとてもよかった。
建物、接客、全てが丁度良くて心地よい。
お料理も一品一品温かいものが出てきて
本当に美味しかった。
お風呂も食事も終えて、また街にくり出し
お祭りを見に行って・・・
考えてみたら、夜行バスの中、
ちゃんと睡眠も取れない状態できて
一日中遊びまわったのだから、次の日に堪えたのも
当たり前だろうな。

8月4日。
バスで鉾立の登山口に向かい、10時に登り始めた。
いつもならしばらく歩いていると、
体が慣れて楽になっていくのに
それが一向にやってこない。
日陰のない登山道で暑さも強まって、
吐き気も
感じ始めたときは早々に断念すべきかすごく迷った。
そんな葛藤の中、ゆっくり進んでいると、
賽ノ河原の雪渓が現れた。
色々な種類の高山植物が咲いている、
氷が溶けて流れる音、冷気が漂ってきて体が一気に楽に。
砂漠のオアシスです。

おかげで体も少し良くなって、またひたすら進む。
お昼休憩は御浜神社で、
カルデラの鳥海湖は素晴らしかった。
この壮大さを写真に収められないのが残念。






その後も登山道はきつかった。
千蛇谷ルートから行き雪渓を横断、
きっと頂上がすぐそこに・・・
と期待してもなかなか現れず、
岩山の道が延々続くように感じた。

雲が湧き上がってくる。ゴゴゴゴ・・・と落石の音が響く。
山の姿は美しいだけではないということを実感する。






時間をかけて、ゆっくりと、ようやく頂上へ着いた。
正確には頂上ではないのだけれど。
新山の山頂へは、御室小屋からさらに岩山を
20分登らなければいけない。
荷物を置いて、さて登るかーと行こうとした時に、
下山してきたおじさま達が、
上までは相当きついよ、ずっとロッククライミング状態で
登らなければいけないよ、
と声をかけてくれた。
その言葉にすっかり怖気づいて、引き返した。
戻ったら先ほどのおじさま達が、
それが賢明だよと言ってくれ、
頂上で撮ってきた写真を見せてくれた。

写真の景色は素晴らしかったけれど、
このヘロヘロな体では20分で登ることもできず、
焦って楽しめなかったことでしょう。






日本海にうっすらと雲がかかって光っている。
この景色だけで、もう十分今日のご褒美をもらった
気分でした。

食事を終えてからもう一度外に出て、
日が沈むのを待つ。
ここには山ガールなんて人っ子一人いない。
元気なおばさん、おじさん達の方言交じりの
陽気な声が楽しく響いていた。

尾根の向こうに月山。








美しい夕日でした。