2024/08/02

ネパール

T氏とネパールへ。
古都バクタプルの美しい街並みや寺院、
ナガルコットの宿のテラスから見た眺め、
カトマンズのタメル地区のカオスな世界、
素晴らしい景色にたくさん出会い、最高の旅だった。

雨季で諦めていたヒマラヤも、雲海の上に少し見れた。
日が昇る前、宿の階段を上りテラスへ、
広がる雲海の上に見えた時の感動は言葉にできず
静寂の中で美しさにただただ見とれた。
きっとこの景色は一生忘れられないけれど
できるならもっと近くで壮大な山を見上げてみたい。
また行かないと。



















2023/10/04

個展のお知らせ

アートギャラリーカフェ
TEA GATE COFFEE」にて個展を開催します。

「山小屋」
2023年10月18日(水)ー29日(日)
10:30~19:00
JR恵比寿駅東口から徒歩3分。
お近くに来られた際にはお立ち寄りいただければ
幸いです。







2022/10/25

個展

今日からgallerykingyoにて個展を開催致します。

「杳」
10/25(火)― 10/30(日)
12:00~19:00まで。最終日は17:00まで。


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小学生の頃までは病弱で、
思い出は薄暗いものばかりでした。
入院した病室の天井の柄、窓の向こう側のくすんだ景色、
眩しいだろうからと母がベッド柵にかけてくれた
ハンカチから漏れる淡い光。
喘息で家の中で臥せっていることも多く、
外で遊ぶ子供の明るい声とは対照的に
肺から聞こえる喘鳴が爆弾の飛んでくる音に似ていて
頭の中で一人戦争ごっこをして息苦しさを紛らわした記憶も。
窓の向こう側と私のこちら側、隔たりを感じていました。
大人になってからは人並みに丈夫になり、
バックパックで一人旅なんてすることもできて
向こう側に飛び出した!そんな興奮がありました。
でもいざ行ってみると、そこからさらに向こう側は存在する、
はっきりとは見えないのだけれど。
明るい光の先、薄暗い闇の先、
きっとこれらは繋がっている。
その杳々とした奥に潜むものに惹かれます。

斑入りの葉の模様はまるで宇宙のようで
山の上で見た星空と重なる。
おばあさんの透きとおった手の皺が好き、
木の幹のような美しい模様が刻まれている。
湿原の池塘を覗くと空が映っていて、もっと奥を覗き込むと、
水の中で土に還ろうとしている落葉、虫の死骸…

真理にいきつくこともなく、
その世界の存在をただぼんやりと思いながら絵を描いています。

杳 ヨウ
はるかで遠いさま。奥深く暗いさま。




2021/12/05

大野山

12年前、M夫妻が連れていってくれた山登りが
私の未来を変えてくれたと思っている。
あれから一人でも山へ行くようになり、
たくさんの感動と風景との出会いがあった。
そのMちゃんと久しぶりに会えることになり
大野山へハイキングに行ってきた。

予報よりも雲が多く寒いはずなのに
高揚していて心も体も温かい。
Mちゃんにとって低山はお散歩程度、
全く息が乱れることなくすいすいと登り
(私はゼーゼー)色々なことを話してくれた。

終わりかけの紅葉、長閑な風景を眺めつつ
ひたすら語り合い、あっという間に頂上に着いた。
残念ながら富士山は雲に隠れていた。
思えば12年前の石割山も山頂は霧で真っ白で
霧の中に浮かぶ木や植物の気配に
不思議な気持ちで向き合ったのを覚えている。

下山後の温泉は最高だった。
その後は居酒屋でまたたくさん話した。

この日私達の一番の運動は、
駅の階段を二回も駆けあがったこと。
全力で走ったのに電車に間に合わず、
この次は一時間後だろうか…と思ったら
10分後に電車がくることが分かり大笑いした。
さすがのMちゃんも息が切れていた。
(走らせてごめん。)





2021/08/07

久しぶりに山梨の山荘へ。
ジャガイモ掘りのお手伝いに行ったのに
夏休みの子供のような体験をさせていただいた。

山荘の隣に住むNさんの家は一人で建てたという
トレーラーハウス合体の家。
養蜂を見せてもらったり、次の日には
裏の森にきていたオオムラサキを見せてくれた。

先月、Sergio Calatroniさんの展示を見に行った際、
詩の朗読会の中で蝶が出てきた。
キュレーターMさんとの立ち話の中で
"蝶はあの世とこの世を繋ぐ使者のような存在"と
聞いたばかりのせいか、その姿は神秘的に映った。

後日、広島に住むSさんのメールにも蝶が出てきた。
庭にアサギマダラがやってきたと。
1000キロ以上も海を越えて旅をする蝶で、
ヒマラヤや中国経由で日本にやってくるのだそう。
庭で見かけて夢のようだったとのお話も聞いて
あれから蝶には一目(?)置いている。
昔、佐渡島の山の上で見た蝶をふと思い出し、
写真を見返したらアサギマダラだった。
その後で見た、あの世のように美しい山頂の景色は
蝶が導いてくれたのかもしれない。




2021/02/16


梅を見に行った。
昨年も歩いた金沢市民の森を経由して
六国峠ハイキングへ。
途中、友人が勧めてくれた動物園にも立ち寄った。
スケッチしているとポーズをとってくれる(気がする)
丹頂鶴、風が流れてくるたびに眼を細める象、
その表情に心を感じる。

園の中には大きな木がたくさんあり
樹名札を見ながら動物と同じように木も観察した。
葉の落ちた木の枝も美しいけれど
見頃を迎えていた河津桜とメジロの組合せは
日本画のように絵になっていた。

ハイキングコースをまた歩いて不動池で一休み、
そこから階段を登った先にこの日の目的の梅が現れた。
こちらも見頃で、紅梅白梅を独り占めして春を楽しんだ。










2020/12/31

この一年


春の山梨の山荘や、
Sさんが毎年誘ってくれる筍狩りや餅つき。
夏には山へ、時々外国へ。
たまに近所のおばあさんとお茶をして。
当たり前のように繰り返されていた幸せが
当たり前ではないと知ることができたと
まとめてしまうのもなんだか悔しいような。
たまには怒りのようなものを燃やして、
それを自分に向けてもいいのかもしれない。

一人で過ごす時間が好きでも
個人で成り立つことなんてひとつもなかった。
茨木のり子さんの詩の一部が頭をよぎり
様変わりした世の中で見えていなかったものへ
目を向けていこうと思った。
来年は良い一年になりますように。


ある日 卒然と悟らされる
もしかしたら たぶんそう
沢山のやさしい手が添えられたのだ
一人で処理してきたと思っている
わたくしの幾つかの結節点にも
今日までそれと気づかせぬほどのさりげなさで





2020/09/25

キャンプ


キャンプを予定していたのに雨予報。
諦めていたのに朝起きたら曇り予報に変わり
大急ぎで準備して出発した。
秦野の滝沢園に着いた時はもう16時近く、
バスを降りたら雲間から光が射して青空も見えた。

このテントでキャンプを計画するとなぜか雨ばかり。
今回は設営中は晴れていたものの
やはり夜になると雨が降り出し
予報も外れて次の日の朝も雨が降り続いた。
なぜなのだー
テントとの相性の悪さを認めたくないので
こんな時だから貸し切り状態だし、よかった
と思うようにして静かな時間を楽しんだ。
夜には少し豪華なお肉を焼いた。
寝袋にくるまり、フライシートにあたる雨の音を
ただ聞くだけの非日常。
川の流れる音も、木の揺れる音もすごく近くに感じる。
テント泊の一番の魅力はこれでないかと思っている。









2020/06/16

氷取沢


雨が続く前に氷取沢市民の森へ行っておこうと
早起きして出かけた。
数ヵ月前に連れて行ってもらった場所。
こんな深い緑が横浜にあるなんて知らなかった。

以前見た植物たちはすっかり様相が変わり
あの時の、蔓の覆ったランドアートのような異空間も
緑が生い茂ったせいで随分と狭く感じた。
あれから忘れられず何度も思い出しているうちに
自分の中でイメージが膨らみ過ぎたせいかもしれない。

それでも久しぶりのハイキングは気持ちよくて
三つの市民の森を渡り歩いた。
森をハシゴできるなんて贅沢だ。

新緑の美しいモミジに見とれたり、
踏まれた葉と花の地面アートに嫉妬したり、
横浜の最高峰(157m…!)で梅干し食べつつ
遠くを眺めたり。自然と交信した一日。

「山は一人でいる時にしか開示してくれない。」
M子ちゃんの言っていた言葉を山に行くたびに
思い出すのだけど今回は開かれなかった。









2019/10/17

秋野不矩展


S井さんが美術館に誘ってくれた。
昨年、秋野不矩さんという画家を教えてくれ
画集を貸してくれたのもS井さん。
まさかその後で馴染みの美術館にやってきて
くれるなんて運命を感じる!と二人で話した。

平塚に行く時はいつもS井さんのご両親の家で
一緒にお昼ごはんを食べる。
90歳を過ぎていてもとてもお元気で
お父様はいつも窓から見える富士山の写真を
見せてくれ、お母様は刺子のふきんを作って
たくさんプレゼントしてくれた。

その後、美術館へ。
作品は言葉にできないくらい素晴らしかった。
絵の中へ溶け込むような感覚。
インドを旅しているような。
眩しい光や気配がそこにあるようだった。
どれだけ長い時間、二人で満喫しただろうか。
どの絵が一番好きかーなんて子供のような質問に
お互い真剣に悩み2周回ったものの
結局ひとつには絞れないね、と笑った。

忘れられずに母とまた次の月にも観に行った。




2019/09/29

涸沢


念願の涸沢へ。
紅葉は7割程度だった。

テントから見たモルゲンロート。







2019/08/04

チェンマイ


タイのチェンマイへ行ってきた。

老いたら住もう、とずっと妄想していた街は
私のイメージとは少し違っていた。
夢の中の街はもっと地方にあるのかもしれない。

誕生日は雨、静かな寺院と市場を散策した後
カレー屋さんでケーキを食べた。
お誕生日だからケーキ、というよりは
たくさんの花の中に飾られたパンやケーキが
あまりに美しくてそそられた。
お店の空間と窓の眺めも素晴らしく心地よい。
うちの近所にあったらなぁ…と何度も思った。





夜市ではマンゴスチンを大量に買い、
ホテルの冷蔵庫に入れて毎日食べた。
格安ホテルなのに、とても快適で
いつも部屋をきれいにしてくれていた。
中庭や向かいのレストランも最高だったし
フロントのおじいさんのぶっきらぼうだけど
お世話をやいてくれる感じも良かった。

3日目はチェンマイの聖山ドーイ・ステープへ。
ソーンテオ(乗り合いタクシー)には扉がなく、
一番後ろの席だったので山道のカーブでは
落ちないよう必死。向かいの白人の美女は
車酔いで今にも吐きそうだし色々ハラハラした。
でもこんな車が普通に走ってる国だから好き。

着いて306段の階段を上ると寺院がある。
罰当たりだけれど金ピカのお寺は飽きてしまい
チェンマイの一望できる展望台でしばらく過ごした。

写真は街に戻ってきてたから見た、
ワット・チェディールアン。







2019/04/14

P山荘


いつもの山草料理と一年ぶりに会う懐かしい人達。
手作りのものが一堂に並ぶP市を楽しみ、
外では篠笛の演奏を聴かせていただいた。

P市は今年が最後。
K杉さんの思いをずっと忘れずにいたいと思う。








2019/04/02

写真展


久しぶりに写真のグループ展に声がかかり参加。
写真展「時は春」
http://www.gallerykingyo.com/exhibition/2019/0402/index.html

タイトルはロバート・ブラウニングの詩から
とったそうです。

時は春、
日は朝、
朝は七時、
片岡に露みちて、
揚雲雀なのりいで、
蝸牛枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。









2019/03/15

鷹取山

今日は一人でふらっと歩きに行こうと思いつつ
大磯のハイキングコースに行こうか、
それとも逗子の山に行こうか…迷いながら駅へ。
先に来たのは横須賀線、鷹取山に決めた。

駅から近く、山道も静かで気持ちがいい。
お寺を通った後は思ったよりも山らしいコースで
鎖場もあったり、頂上は採石の跡地で面白い
景色が広がっていた。
追浜から田浦まで、よく歩いた一日。
手術から約一ヶ月半、傷跡も痛むことなく
よいリハビリになった。




2018/11/10

沖縄

M子さんの半世紀誕生日。
NZで出会ってからも約20年が経った。
向こうでも東京でも、溢れるユーモアと優しさで
いつも助けてくれた大恩人。
そのM子さんの誕生日を盛大に祝おう、
そしてツール・ド・沖縄を楽しもう、と
同じくNZからずっと繋がっている大事な友人
二人と一緒に沖縄に行った。

初めての沖縄なので、ガイドブックではなく
沖縄文化論をひたすら読み込んだ。
民俗と歴史を一番知っておきたかった。
そんな心構えで行ったものの、50年前の古い本…
本の中の沖縄とは随分印象が違っていた。
たくさんの近代的なビルやホテルが並び
想像していたよりもずっと観光地化されていた。

M子さんとの再会は、沖縄に帰ってからも
出張等で定期的に東京で会えていたので、
懐かしさというよりも久しぶり!といった感じ。
お仕事関係で大変な日々であるというのに、
滞在中、私達をずっと温かくもてなしてくれた。

初日は着いたのが夕方だったので、
居酒屋で食事した後はまったりとホテルで過ごし
二日目は私の希望の平和記念公園へ。
展示では体験者の声が一番ショックだった。
こんなに美しい島で遠くない昔におきたこと、
残酷な現実に胸が苦しくなった。

次の日はM子さんN恵が出るツールド沖縄の応援。
私とY子は現地のご友人の車に乗せてもらい
先回りして応援した。
前日の重苦しい気持ちを、人々の温かさと
平和な空気が和らげてくれた。

参加した皆、無事に完走。
打ち上げでは参加していない私達までたくさんの
お料理を頂いて、夜は借りた一軒家でM子さんの
お誕生日を祝った。
毎夜明け方まで話し、同じようにNZにいた頃も
バックパッカーズや海や山に夜出かけては
たくさん語り合った懐かしい日々を思い出した。

忘れたくないことが溢れていたのに
日が経ってしまい、今は映像だけが浮かんでくる。
ご友人のMMさんの家、城と呼んでもいいくらいの
見晴らしのよい山の上で犬と猫と暮らしている。
そして備瀬に住む妹さんの家にもお邪魔した。
フクギの並木に囲まれ、自然と密に暮らしていた。
便利で機能的な生活よりも、こうした人らしい
生活を今も思い出しては憧れている。






2018/09/08

尾瀬

久しぶりの尾瀬、
八年前の青空の広がった尾瀬と違い、
今回は雨と霧に包まれていた。ノルシュテインの映像、
霧の中のハリネズミのような。幻想的な世界に浸った。

ルートは鳩待峠→アヤメ平→見晴

このルートは人もほとんどいなくて横田代では
静寂に包まれた。広がる草原と池塘、さーっと流れる
霧の中に一本の木道が遠くまで続いている。
あまりの静けさに思わず目を閉じてみたり
深呼吸したりして、しばらくそこで立ち止まった。

見晴までの道は景色に変化があって楽しい。
また晴れた日に歩いてみたい。

今回の一番の目的はテント泊。
友人Jが会社で取り扱っているから安く売ってあげるよ、
と言ってくれて念願のmyテント(MSR)を購入した。
しかし新品テント初設営だというのに、
テン場に着いたら土砂降りの雨…T氏となんとか設営した
ものの、雨のせいなのか私たちの組み立てが原因か、
少しうな垂れてるテントが寂しげ。
床面は雨に浸るし寝袋も衣類も全てがじっとりと濡れて
残念なデビューだった。

次の日は大清水からバスに乗るために
見晴→尾瀬沼→大清水と歩いた。

歩き疲れた頃に突然現れる開かれた美しい景色、
それでまた元気になる。尾瀬にはこういった場所が
いくつもある。
ビジターセンターの先に見えたこの景色も
まさに心洗われる瞬間だった。







2018/08/15

古楽

Bさんに誘われて行った、古楽オーケストラ。
「La Musica Collana」素晴らしかった。
丸山さんのヴァイオリンの迫力に魅せられ
チェロのソロでは涙が流れた。
楽器に感情があるような…?うまく言えないけれど
美しく整った今の音楽よりもずっと魅力的だった。

Bさんはいつも私に新しい世界を教えてくれる。
本当に感謝。




2018/08/06

立山

以前から立山に行ってみたかった。
北アルプスの上の遠い山…というイメージで
行く決心がなかなかつかなかったけれど、
ブラタモリ立山編を見て今年の誕生日は
憧れの立山にしようと決まった。
7年位前からうちにはテレビがないので
(デジタル放送化で見れなくなりそのまま…)
母は山関連の放送を時々録っておいてくれる。

今回は息切れがひどく、途中のガレ場を見て
諦めようかと思ったり…でも最後までなんとか
登って良かった。お天気にも恵まれて
遠く連なる山々や、眼下に広がる室堂平の
壮大な景色が見れた。
かつてここには氷河が流れていたこと、
みくりが池はカルデラ湖であること、
ブラタモリの話が浮かんでくる。
あまりに遠い話なのと、不思議な景色のせいで
まるで別の惑星にいるよう。

頂上の神社でお参りしてお神酒を頂いた。
その後は大汝山までミニ縦走、こちらも
映画で見たことのある小屋があった、
静かでよい雰囲気だった。
大走りルートを諦めて折り返すと渋滞、
うんざりしつつも、進まなくなった時は
遠くの山を眺めて過ごした。
雪渓の上では思い切りコケてお尻を強打した。
プレゼントで頂いたストックが杖代わりに。

この日はミクリガ池温泉で一泊。
日本一高所にある温泉にのんびり浸かり
山の上とは思えないくらいの
手の込んだ美味しい夕食を堪能した。
外の椅子に座り夕日が落ちるのを眺めつつ
この霊山である立山に自分の足で登ってきた
昔の人達のことを思った。
さらに思いは遡り、狩猟をしてきた人々の
自然に対する観念とか、岡本太郎の
言う神秘観とか。
弱々しい今の自分の存在が、何かを
失っている証拠のようで寂しくも思えた。
それでもこうしてまた山の上にいて
過去に思いを馳せながら、素晴らしい
景色を眺められる幸せ。良い一日だった。








弥陀ヶ原へ

この日は弥陀ヶ原まで歩いて行くと決めていた。
ただ数日前にこの辺りで熊が出没したと
聞いたので情報を探す。
お土産屋の店員さんが丁寧に対応ししてくれて、
とりあえず天狗平まで行ってみることにした。

山に向かう登山客とは反対方向へ。
誰ともすれ違わない静かな道、虫の羽の音、
雪の溶けた水の音だけが耳に心地よかった。
ひらけた景色の真ん中を解放感に浸りながら歩く。
NZの山道を何度も思い出した。

天狗平着いて宿の人に熊のことを聞く。
「熊はそうですねぇ、たまに出ますよ~
出る時は出るし仕方ないかな。
でもせっかくだし気持ちよい道だから歩いて
向かうといいですよ。鈴がなければ手を叩き
ながらでも~」と笑顔で言われなんだか和んだ。
和んだけれど熊は普通に出てくるものなのか…と
気を引き締めて約一時間のルートを歩いた。
山の天気はすぐに変わる。晴れた空は
どんどん霧に包まれて、ひと気のない道が
薄暗くなって余計に静かになる。
ガサガサとどこかで音がするたびに
熊ではないかとドキドキしつつ手を叩いた。
弥陀ヶ原に着いたら、あっという間に光が射して
青空が広がった。
霧がとれた後だというのに乾いたような景色。
池塘は干からび、駐車場にいた係の方のお話だと
異常気象のせいか、今年はいつも以上に
干上がっているとのことだった。
ブラタモリで知った溶結凝灰岩。
今回はタモさんの言葉と共に歩いた旅だった。