母の古希のお祝いで下田に行った。
還暦の時にも来た思い出の地。
10年ぶりの爪木崎は多少整備されていたけれど、
海の色も水仙も変わらず美しく、
懐かしい気持ちになった。
母は記憶力がよい。今回も歩いていれば、
あの奥に面白い道があったよねとか、
右に祠があったはずーとか。
全然覚えていない私は母に感心してばかり。
一体どちらが年をとっているんだろか…。
それでも10年前に岬で食べた秋刀魚の
炙り寿司は覚えている。(食いしん坊なだけ)
今回も同じように猟師汁と一緒に注文し、
変わらぬ味を満喫した。
刻んだ柚子がたくさんのっていて本当に美味しい。
予約していたホテルも素晴らしく、
よいプレゼントができた。
食後に露天風呂から星を眺める。
うっすらと雲がかかっていて満天とは言えない
けれど、冷たい空気が本当に気持ちよかった。
今日一日、祖母の話、友人の話、
母とたくさんの思い出話をした。
次の日は生憎の雨。送迎バスで送ってもらい、
上原美術館に行った。
仏教館に入ると、ズラリと並んだ木の仏像に
圧倒される。
皆良いお顔をしていて、つられて微笑んでしまう。
足元で踏まれている邪鬼でさえ、
なんともいえない表情で面白かった。
ホワイエという空間に飾られた平安時代の
観音菩薩像の佇まいに心奪われ、
しばらくその小さな仏像と向き合った。
近代館の方では、須田国太郎の作品に惹かれた。
最後は下田のペリーロードを
また思い出しながら歩く。よく歩いた。
次の喜寿でまた来られるよう、
元気に長生きしてほしい。