大町で山菜採りを楽しんだ後は、兄達と別れて
W君の住む佐久にふらっと立ち寄るつもりだった。
いざ調べてみたらかなり遠い。
一緒に行く予定だったSさんに待ち合わせは夕方でーと
連絡すると、登山家が伊那に住んでいるから、
家に泊まらせてもらっちゃおうと提案してくれた。
前日に急遽予定を変更して茅野で待ち合わせ。
私の相変わらずの無計画さにもかかわらず、
Sさんは気にもせずに事をうまく運んでくれる。
そして突然の申し出に快く招き入れたくれたO畑さん、
本当にありがとうございました。
山奥の、蔵のあるお家は、ご自分で何年もかけて
リフォームしたのだそう。
元々プロダクトデザインをされていただけあって
センスもこだわりも半端ない。
柿渋染の和紙の貼られた戸、大きな梁と囲炉裏、
手作りのランプシェード、モロッコの雑貨、
たくさんの山の本、見事に融合されていた。
Sさんが寝た後も、お酒を飲みながらしばらく
登山話で盛り上がった。
雨飾山、空木岳、綺麗な名前の山を教えてくれた。
次の日もO畑さんは佐久まであちこちと
眺めの良い場所に立ち寄ってくれた。
ルートの都合で諦めていた白駒池にも。本当に嬉しい。
大町では春を満喫してきたのに、山の上はなんと雪。
二人はスニーカーでもすいすいと歩いていく中、
私は滑ってばかり…トレッキングシューズなのに。
よろよろと雪に覆われた苔の森を歩いた。
凍った池は神秘的で靄の向こうに何か出てきそうだった。
本当に出てきたとしても、驚かないかもしれない。