2018/08/06

弥陀ヶ原へ

この日は弥陀ヶ原まで歩いて行くと決めていた。
ただ数日前にこの辺りで熊が出没したと
聞いたので情報を探す。
お土産屋の店員さんが丁寧に対応ししてくれて、
とりあえず天狗平まで行ってみることにした。

山に向かう登山客とは反対方向へ。
誰ともすれ違わない静かな道、虫の羽の音、
雪の溶けた水の音だけが耳に心地よかった。
ひらけた景色の真ん中を解放感に浸りながら歩く。
NZの山道を何度も思い出した。

天狗平着いて宿の人に熊のことを聞く。
「熊はそうですねぇ、たまに出ますよ~
出る時は出るし仕方ないかな。
でもせっかくだし気持ちよい道だから歩いて
向かうといいですよ。鈴がなければ手を叩き
ながらでも~」と笑顔で言われなんだか和んだ。
和んだけれど熊は普通に出てくるものなのか…と
気を引き締めて約一時間のルートを歩いた。
山の天気はすぐに変わる。晴れた空は
どんどん霧に包まれて、ひと気のない道が
薄暗くなって余計に静かになる。
ガサガサとどこかで音がするたびに
熊ではないかとドキドキしつつ手を叩いた。
弥陀ヶ原に着いたら、あっという間に光が射して
青空が広がった。
霧がとれた後だというのに乾いたような景色。
池塘は干からび、駐車場にいた係の方のお話だと
異常気象のせいか、今年はいつも以上に
干上がっているとのことだった。
ブラタモリで知った溶結凝灰岩。
今回はタモさんの言葉と共に歩いた旅だった。