Sさんのおかげで、ずっと行きたかった直島へ行けた。
初日はどっぷりアートに浸る。時間のない私達は、
どこかを諦めなければいけないかなと思っていたのに
色々うまく進んで全て観ることができた。
穏やかな瀬戸内の雰囲気、
なんて平和なのだとうと思いながら自転車で巡った。
慣れない自転車でバタンとコケたりもしたけれど。
最初に行った李禹煥美術館では、
美術館にいた頃によく眺めていたLineの絵に
懐かしい気持ちになる。
石の影に流れる映像作品が印象に残った。
閉鎖的な美術館の空間から外に出た時の、
遠く見える海と作品も忘れられない景色、
ゆっくりと横切る船、映画のように綺麗な
構図で収まっていた。
家プロジェクトも、どれも素晴らしかったし
(内藤礼はイマイチ・・・)
乗気でなかった大竹伸朗の銭湯も楽しんでくつろいだ。
地中美術館の作品、ここでは特別な体験をした。
時間の感覚がなくなる中で、様々な光を見た。
自然光の中で見るモネの絵を薄暗くなるまで眺めていたら
どこかへと繋がっているような神秘的な感覚に包まれた。
夜はベネッセハウス泊、フロアに、部屋に、
こんな作品があるなんて!と]
ミーハー全開で興奮してしまう。
遅くなることを想定して、
夕食は部屋でお弁当予約をして良かった。
スタッフの方の丁寧なおもてなしに感激しながら、
手のこんだ美味しいお弁当を頂いた。
次の日、早朝散歩。
草間弥生の南瓜がひっそりと佇んでいて
水玉なのに、黄色いのに、景色に溶け込んでいて不思議。
あいにく天気は悪かったけれど、静かな海は
前日見たモネの睡蓮のように淡く深い色をしていた。
そんな海を眺めていると地元のオジサンに声をかけられ
しばらく立ち話した。
こうして島がアート一色になり、
観光客が大勢くることを島の人達も喜んでいると。
それを聞いてなんだかホッとした。
その後、お客さんも監視員もいない
ベネッセミュージアムを堪能し、豊島に向かう。
どうしても見たかった心臓音のアーカイブを見るために。
雨のせいで、島全体が暗く、建物に向かう道のりまでもが
ボルタンスキーの作品のようだった。
作品もまた想像以上に重く、扉を開けて聞こえてきた
大音量の心臓音に恐怖で奥まで進めず数秒で逃げ出した。
それもダッシュで。
これを観たくて来たんでしょう?と
促されて入っては見るけれど、
中枢に直接語りかけてくるような恐怖のせいで、
まともに向き合えなかった。
終わった後で、窓から見える海と島を眺めながら
ヘッドフォンでたくさんの知らない人の心臓音を聴いた。
豊島も素朴でよかった。
次の日は高松で栗林公園とうどん三昧。
幸せな旅の三日間だった。