2018/11/10

沖縄

M子さんの半世紀誕生日。
NZで出会ってからも約20年が経った。
向こうでも東京でも、溢れるユーモアと優しさで
いつも助けてくれた大恩人。
そのM子さんの誕生日を盛大に祝おう、
そしてツール・ド・沖縄を楽しもう、と
同じくNZからずっと繋がっている大事な友人
二人と一緒に沖縄に行った。

初めての沖縄なので、ガイドブックではなく
沖縄文化論をひたすら読み込んだ。
民俗と歴史を一番知っておきたかった。
そんな心構えで行ったものの、50年前の古い本…
本の中の沖縄とは随分印象が違っていた。
たくさんの近代的なビルやホテルが並び
想像していたよりもずっと観光地化されていた。

M子さんとの再会は、沖縄に帰ってからも
出張等で定期的に東京で会えていたので、
懐かしさというよりも久しぶり!といった感じ。
お仕事関係で大変な日々であるというのに、
滞在中、私達をずっと温かくもてなしてくれた。

初日は着いたのが夕方だったので、
居酒屋で食事した後はまったりとホテルで過ごし
二日目は私の希望の平和記念公園へ。
展示では体験者の声が一番ショックだった。
こんなに美しい島で遠くない昔におきたこと、
残酷な現実に胸が苦しくなった。

次の日はM子さんN恵が出るツールド沖縄の応援。
私とY子は現地のご友人の車に乗せてもらい
先回りして応援した。
前日の重苦しい気持ちを、人々の温かさと
平和な空気が和らげてくれた。

参加した皆、無事に完走。
打ち上げでは参加していない私達までたくさんの
お料理を頂いて、夜は借りた一軒家でM子さんの
お誕生日を祝った。
毎夜明け方まで話し、同じようにNZにいた頃も
バックパッカーズや海や山に夜出かけては
たくさん語り合った懐かしい日々を思い出した。

忘れたくないことが溢れていたのに
日が経ってしまい、今は映像だけが浮かんでくる。
ご友人のMMさんの家、城と呼んでもいいくらいの
見晴らしのよい山の上で犬と猫と暮らしている。
そして備瀬に住む妹さんの家にもお邪魔した。
フクギの並木に囲まれ、自然と密に暮らしていた。
便利で機能的な生活よりも、こうした人らしい
生活を今も思い出しては憧れている。






2018/09/08

尾瀬

久しぶりの尾瀬、
八年前の青空の広がった尾瀬と違い、
今回は雨と霧に包まれていた。ノルシュテインの映像、
霧の中のハリネズミのような。幻想的な世界に浸った。

ルートは鳩待峠→アヤメ平→見晴

このルートは人もほとんどいなくて横田代では
静寂に包まれた。広がる草原と池塘、さーっと流れる
霧の中に一本の木道が遠くまで続いている。
あまりの静けさに思わず目を閉じてみたり
深呼吸したりして、しばらくそこで立ち止まった。

見晴までの道は景色に変化があって楽しい。
また晴れた日に歩いてみたい。

今回の一番の目的はテント泊。
友人Jが会社で取り扱っているから安く売ってあげるよ、
と言ってくれて念願のmyテント(MSR)を購入した。
しかし新品テント初設営だというのに、
テン場に着いたら土砂降りの雨…T氏となんとか設営した
ものの、雨のせいなのか私たちの組み立てが原因か、
少しうな垂れてるテントが寂しげ。
床面は雨に浸るし寝袋も衣類も全てがじっとりと濡れて
残念なデビューだった。

次の日は大清水からバスに乗るために
見晴→尾瀬沼→大清水と歩いた。

歩き疲れた頃に突然現れる開かれた美しい景色、
それでまた元気になる。尾瀬にはこういった場所が
いくつもある。
ビジターセンターの先に見えたこの景色も
まさに心洗われる瞬間だった。







2018/08/15

古楽

Bさんに誘われて行った、古楽オーケストラ。
「La Musica Collana」素晴らしかった。
丸山さんのヴァイオリンの迫力に魅せられ
チェロのソロでは涙が流れた。
楽器に感情があるような…?うまく言えないけれど
美しく整った今の音楽よりもずっと魅力的だった。

Bさんはいつも私に新しい世界を教えてくれる。
本当に感謝。




2018/08/06

立山

以前から立山に行ってみたかった。
北アルプスの上の遠い山…というイメージで
行く決心がなかなかつかなかったけれど、
ブラタモリ立山編を見て今年の誕生日は
憧れの立山にしようと決まった。
7年位前からうちにはテレビがないので
(デジタル放送化で見れなくなりそのまま…)
母は山関連の放送を時々録っておいてくれる。

今回は息切れがひどく、途中のガレ場を見て
諦めようかと思ったり…でも最後までなんとか
登って良かった。お天気にも恵まれて
遠く連なる山々や、眼下に広がる室堂平の
壮大な景色が見れた。
かつてここには氷河が流れていたこと、
みくりが池はカルデラ湖であること、
ブラタモリの話が浮かんでくる。
あまりに遠い話なのと、不思議な景色のせいで
まるで別の惑星にいるよう。

頂上の神社でお参りしてお神酒を頂いた。
その後は大汝山までミニ縦走、こちらも
映画で見たことのある小屋があった、
静かでよい雰囲気だった。
大走りルートを諦めて折り返すと渋滞、
うんざりしつつも、進まなくなった時は
遠くの山を眺めて過ごした。
雪渓の上では思い切りコケてお尻を強打した。
プレゼントで頂いたストックが杖代わりに。

この日はミクリガ池温泉で一泊。
日本一高所にある温泉にのんびり浸かり
山の上とは思えないくらいの
手の込んだ美味しい夕食を堪能した。
外の椅子に座り夕日が落ちるのを眺めつつ
この霊山である立山に自分の足で登ってきた
昔の人達のことを思った。
さらに思いは遡り、狩猟をしてきた人々の
自然に対する観念とか、岡本太郎の
言う神秘観とか。
弱々しい今の自分の存在が、何かを
失っている証拠のようで寂しくも思えた。
それでもこうしてまた山の上にいて
過去に思いを馳せながら、素晴らしい
景色を眺められる幸せ。良い一日だった。








弥陀ヶ原へ

この日は弥陀ヶ原まで歩いて行くと決めていた。
ただ数日前にこの辺りで熊が出没したと
聞いたので情報を探す。
お土産屋の店員さんが丁寧に対応ししてくれて、
とりあえず天狗平まで行ってみることにした。

山に向かう登山客とは反対方向へ。
誰ともすれ違わない静かな道、虫の羽の音、
雪の溶けた水の音だけが耳に心地よかった。
ひらけた景色の真ん中を解放感に浸りながら歩く。
NZの山道を何度も思い出した。

天狗平着いて宿の人に熊のことを聞く。
「熊はそうですねぇ、たまに出ますよ~
出る時は出るし仕方ないかな。
でもせっかくだし気持ちよい道だから歩いて
向かうといいですよ。鈴がなければ手を叩き
ながらでも~」と笑顔で言われなんだか和んだ。
和んだけれど熊は普通に出てくるものなのか…と
気を引き締めて約一時間のルートを歩いた。
山の天気はすぐに変わる。晴れた空は
どんどん霧に包まれて、ひと気のない道が
薄暗くなって余計に静かになる。
ガサガサとどこかで音がするたびに
熊ではないかとドキドキしつつ手を叩いた。
弥陀ヶ原に着いたら、あっという間に光が射して
青空が広がった。
霧がとれた後だというのに乾いたような景色。
池塘は干からび、駐車場にいた係の方のお話だと
異常気象のせいか、今年はいつも以上に
干上がっているとのことだった。
ブラタモリで知った溶結凝灰岩。
今回はタモさんの言葉と共に歩いた旅だった。






2018/06/26

霧ヶ峰

高山植物の資料集めのため、山の計画を立てた。
O畑さんに連絡をとったら同行してくれるとの
ことで一緒に霧ヶ峰へ。

始発の電車に乗り、茅野でO畑さんの車に乗せて
もらった後高原に向かった。
最初に行ったのは車山。
天気も良くて気持ちよい。
レンゲツツジは終わりかけ、コバイケイソウや
ニッコウキスゲがちらほらと見えた。

その次は八島ヶ原湿原へ。
そこで、ふと形のよい山が目に入る。
「あの山の稜線いいなぁ、登りたくなるね」と
仰るので、登っちゃいましょうか!となり、
湿原散歩の後、鷲ヶ峰という小さな山を登った。
O畑さんの予想通り、気持ちよい道と眺め、
頂上からは広がる湿原が遠くまで見えた。
私が山に行く時はいつも計画にしばられてしまう。
車がないから仕方のないことだけれど。
なので目についた山にふらりと登れる
この感じがすごく自由で嬉しかった。

その後は、お勧めの市場でお寿司や惣菜を
たくさん買い込みO畑さんの家でくつろいだ。
冬の間行っていた外国の写真を見せてもらい、
私も旅しているような気持ちになった。

ただこの日は声はガラガラで、治ったと
思っていた風邪もまたぶり返してしまい
次の日は早めに帰ることにした。
それでも今回もまたよい思い出ができた。
O畑さんには大感謝。







2018/04/19

筍狩り

Y崎さんが筍狩りに誘ってくれた。
北鎌倉の裏庭で採れる筍。夢のよう。
ご親戚の趣ある古い家、そして探検できそうな
広い庭にはY崎さんの小さな頃の思い出が
たくさんつまっているとのことだった。
防空壕の跡地に作ったという秘密基地、いいなぁ。
この歳になっても作ってみたい憧れがある。

筍狩りは本当に楽しかった。
見つけるのも、掘り出すのも夢中になった。
竹林に風が通ると、カラカラと音がして
耳に心地よい。
雨後の筍というように、
前日の雨の後でたくさんの筍が採れた。

Yさんの叔母さんにお茶をいただき、
穏やかな午後を過ごした後、
帰りにはお庭の花をなんでも持って行ってと、
クリスマスローズや茗荷の苗をいただいた。

帰ってからはせっせと筍の下処理をして
筍ごはん、筍のお刺身、筍のお吸い物、と
筍三昧の夕食だった。







2018/04/13

大楠山

一人ふらりと大楠山へ。
ここに来るのはいつも春ばかりだ。
登山口までの小川や、なだらかな道が気持ちよくて
春の気分に丁度よいのかもしれない。

山頂からの眺めは春霞で
海も空もぼんやりしていた。
私もぼんやりしていて、帰りのバスを間違えた。







2018/04/02

森ッ田


友人のお店がオープンしました。
森ッ田
https://moritta.shopinfo.jp/

日々の手仕事料理とお酒のお店。
丁寧に作られたお料理は格別な美味しさで
行くたびに感動します。
ぜひ足をお運びください。
私の絵も一枚展示しています。






2018/01/16

下田

母の古希のお祝いで下田に行った。
還暦の時にも来た思い出の地。
10年ぶりの爪木崎は多少整備されていたけれど、
海の色も水仙も変わらず美しく、
懐かしい気持ちになった。
母は記憶力がよい。今回も歩いていれば、
あの奥に面白い道があったよねとか、
右に祠があったはずーとか。
全然覚えていない私は母に感心してばかり。
一体どちらが年をとっているんだろか…。
それでも10年前に岬で食べた秋刀魚の
炙り寿司は覚えている。(食いしん坊なだけ)
今回も同じように猟師汁と一緒に注文し、
変わらぬ味を満喫した。
刻んだ柚子がたくさんのっていて本当に美味しい。

予約していたホテルも素晴らしく、
よいプレゼントができた。
食後に露天風呂から星を眺める。
うっすらと雲がかかっていて満天とは言えない
けれど、冷たい空気が本当に気持ちよかった。
今日一日、祖母の話、友人の話、
母とたくさんの思い出話をした。

次の日は生憎の雨。送迎バスで送ってもらい、
上原美術館に行った。
仏教館に入ると、ズラリと並んだ木の仏像に
圧倒される。
皆良いお顔をしていて、つられて微笑んでしまう。
足元で踏まれている邪鬼でさえ、
なんともいえない表情で面白かった。
ホワイエという空間に飾られた平安時代の
観音菩薩像の佇まいに心奪われ、
しばらくその小さな仏像と向き合った。
近代館の方では、須田国太郎の作品に惹かれた。

最後は下田のペリーロードを
また思い出しながら歩く。よく歩いた。
次の喜寿でまた来られるよう、
元気に長生きしてほしい。